はじめに:新しい生き方をつくった人
肉乃小路ニクヨさんは、金融の世界で働いた経験を持ちながら、同時に「ニューレディー」という独自の立場で活動する文化人です。
「女装家」や「ドラァグクイーン」という呼び方では表せない、自分だけの生き方をつくり出したことで注目を集めてきました。金融の知識と芸術的な表現を組み合わせることで、多くの人に「こんな生き方もあるんだ」と思わせる存在になっています。
子ども時代:数字が友だち
千葉県で育ったニクヨさんは、人付き合いが得意ではなく、新聞やテレビを見るのが好きな子どもでした。小学生のころから株価やスポーツのデータを見ることに夢中になり、数字を通じて世の中を理解する力をつけていきました。
友だちと遊ぶよりも一人で考えることが多かったため、人の気持ちを観察したり物事を冷静に分析したりする習慣が自然と身についたのです。
大学生時代:自分を見つけるまで
慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパス(SFC)に進学しましたが、入学直後は友だち作りがうまくいかず悩みました。
そんなとき、父親の病気をきっかけに1年間休学し、その間に本を読み、同性愛やアイデンティティについて深く学びました。この時間で少しずつ自信を取り戻し、1996年にはドラァグを始めて舞台に立つようになります。そして1999年には「DIVA JAPAN」で優勝し、自分の存在を強く肯定できるようになりました。
金融の仕事と二重生活
大学卒業後、証券会社に入社しましたが病気で退職。
それでも諦めずに資格を取り、29歳で外資系保険会社に正社員として採用されました。
営業から管理職へと昇進し、金融の世界で力を発揮する一方、休日や夜には新宿二丁目でパフォーマンスやバーのママとしても活動。
まったく異なる二つの世界を同時に生きる「二重生活」を送りました。この経験は大変でしたが、両方の世界で得た学びが彼女の考え方や表現を大きく広げました。
独立と新しい挑戦
42歳で会社員生活をやめ、フリーランスに転身。
退職前に5年分の生活費を貯めていたため、計画的に挑戦することができました。
その後は執筆、YouTube、テレビ出演、講演などで活動の場を広げます。2019年に始めたYouTubeチャンネルは登録者数11万人を超え、金融の話だけでなく文化や日常生活に役立つ知恵も発信。自由に自分を表現できるようになり、金融知識と芸術性を組み合わせた独自のスタイルを築きました。
現在の活動
- 本の出版:「価値あるお金の増やし方」(2023年)、「いま必要なお金のお作法」(2024年)を出版。お金の知識をわかりやすく解説しています。
- YouTube:お金や社会、文化など幅広いテーマで動画を配信。ユーモアあふれる話し方で人気です。
- メディア出演:「サンデージャポン」「5時に夢中!」などに出演し、独自の視点でコメント。
- 講演活動:企業や大学でお金の管理や多様性について語り、多くの人に勇気を与えています。
- 音楽活動:「カセットガール」として楽曲を発表し、音楽の分野にも挑戦しています。
考え方と目標
ニクヨさんの中心にあるのは「人生は経営」という考えです。
お金や時間を会社経営のように計画して使い、自分を成長させるという考え方。
また、自分を「ポンコツ」と呼び、学び続ける姿勢を大切にしています。これは謙遜ではなく、常に新しい知識や技術を取り入れる前向きな姿勢を意味します。将来は「魔女」のように、長い時間をかけて知恵を積み重ねた存在になりたいとも語っています。
まとめ:学び続ける大切さ
ニクヨさんの人生は、金融の知識と芸術的な表現を組み合わせ、自分だけの生き方をつくり出した物語です。失敗や困難を乗り越えてきた姿は、高校生にとっても「自分らしい生き方」を考えるヒントになるでしょう。安定と挑戦をどう両立するか、学び続けることの大切さを教えてくれます。彼女の歩みから学べるのは、「計画性」と「自由な表現」の両方を活かしながら自分を成長させる方法なのです。
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