はじめに|ロケ地は物語を支える“もう一人の登場人物”
2026年1月12日から放送が始まるテレビ東京のドラマ 『キンパとおにぎり~恋するふたりは似ていてちがう~』。
このドラマは、男女の恋愛だけを描いた作品ではありません。物語の軸には、
「人はどこで出会い、どこに自分の居場所を見つけるのか」
という、現代を生きる多くの人に共通するテーマがあります。
そのテーマを、セリフだけでなく視覚的に伝えているのが、物語の舞台となるロケ地です。とくに重要な役割を担っているのが、東京都北区・王子を中心とした街並みです。
王子の風景は、登場人物の心の状態や物語の空気感を、言葉以上に雄弁に語っています。ロケ地そのものが、まるで「もう一人の登場人物」のように機能しているのです。
この記事では、
- 物語の中心となる小料理店「田の実」のロケ地
- なぜ王子という街が舞台に選ばれたのか
- ロケ地と登場人物の心情がどのように結びついているのか
を、順を追って分かりやすく解説していきます。
第1章|小料理店「田の実」というロケ地の意味
「田の実」は実在した建物を活用している
ドラマに登場する小料理店「田の実」は、撮影用に作られたスタジオセットではありません。
東京都北区・王子の商店街に実際に存在していた、すでに閉店した蕎麦屋を改装し、撮影に使用しています。
- 外観・内装ともに実在する建物
- 厨房やトイレなどの設備も実際に使える状態
- 木造建築ならではの、長い年月を感じさせる雰囲気
こうした「本物の空間」を使うことで、ドラマには作り物では出せないリアリティが生まれています。視聴者も、自然と物語の世界に入り込みやすくなるのです。
なぜ空き店舗がロケ地に選ばれたのか
この場所が選ばれた理由は、単に雰囲気が良かったからではありません。
- かつては人が集まり、にぎわっていた場所
- 今は役目を終え、静かに時が流れている場所
- それでも、完全には消えない温もりが残っている
この建物の状態が、
- 挫折を経験し、人生の途中で立ち止まっている長谷大河
- 日本での生活の中で居場所を失いかけているパク・リン
という2人の心の状態と重なっています。
「田の実」は、 止まっているように見えながら、少しずつ再スタートが始まる場所 として、物語の中心に置かれているのです。
第2章|東京都北区「王子」という街が持つ力
王子はどんな特徴を持つ街なのか
王子は東京都内にありますが、新宿や渋谷のような大都市の中心とは雰囲気が異なります。
- 商店街が今も地域の生活の場として機能している
- 高層ビルが少なく、低い建物が多い
- 昔から続く街の空気が自然に残っている
こうした特徴から、王子は「特別な観光地」ではなく、
誰かが毎日を普通に生きている街
として描かれます。この日常性こそが、ドラマのリアリティを支えています。
なぜ王子が舞台として選ばれたのか
韓国から日本に来た留学生・パク・リンにとって、王子の街は、
- いかにも東京らしい派手さはない
- それでも、日本らしさはしっかり感じられる
という、ほどよい距離感を持った場所です。
異国での生活に疲れ、心に余裕を失っていたリンが、少し肩の力を抜いて過ごせる場所として、王子はとても自然な舞台だと言えるでしょう。
第3章|ロケ地と登場人物の心情のつながり
長谷大河|前に進めなくなった青年と「立ち止まる場所」
大河は、大学駅伝のエースとして将来を期待されていました。しかし、思うような結果を出せず、大きな挫折を経験します。
- これまで「前に進み続けること」を求められてきた
- その道を、ある日走れなくなってしまった
王子の小料理店で、毎日おにぎりを握る同じ生活をくり返すことは、
「何も変わらない時間にも意味がある」
と気づくための大切な時間になっています。
パク・リン|移動を続けてきた人生と居場所の不安
リンは、
- 国を越え
- 文化を越え
- 言葉の違いを乗り越えながら
生きてきた人物です。
そんな彼女が「田の実」で、大河の作ったおにぎりを食べる場面は、
「ここにいてもいい」と初めて心から安心できた瞬間
を表しています。
ロケ地は、登場人物の心の変化を、視覚的に分かりやすく伝える役割を果たしているのです。
第4章|食べ物にこめられた意味──キンパとおにぎり
ドラマのタイトルにもなっている、
- 韓国の「キンパ」
- 日本の「おにぎり」
この2つの食べ物は、見た目はよく似ていますが、同じものではありません。
- どちらもお米と海苔を使っている
- しかし、味付けや作り方、考え方には違いがある
この関係は、大河とリンの関係そのものです。
2つの料理が同じ場所で並ぶことは、
ちがいを否定せず、理解し合いながら生きていくこと
を象徴しています。
第5章|ロケ地めぐりをするときの注意点
ロケ地を調べる際に、よく混同される場所があります。
- 兵庫県・阪急王子公園駅周辺
ここはNHK朝ドラ『おむすび』のロケ地であり、
『キンパとおにぎり』の舞台とは関係ありません。
本作の舞台は、
▶ 東京都北区・王子の商店街周辺
です。実際に訪れる際は、場所の取り違えに注意しましょう。
おわりに|ロケ地が伝えているこのドラマのメッセージ
『キンパとおにぎり~恋するふたりは似ていてちがう~』のロケ地は、単なる背景ではありません。
- 昔の記憶を残した建物
- 何気ない日常が今も続く街
- 作りすぎていない、ありのままの風景
これらすべてが、
「人はちがっていても、時間をかければ分かり合える」
というメッセージを、静かに、しかし確かに伝えています。
ドラマを見たあとに王子の街を歩くことで、登場人物たちが過ごした時間や気持ちを、より身近に感じられるかもしれません。
ロケ地とともに、ドラマの世界をじっくり味わってみてください。


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