はじめに|異色の芸人・栗谷悟史とは
お笑いコンビ「カカロニ」(グレープカンパニー所属)のボケ担当、**栗谷悟史(くりたに さとし)**さん。テレビではナルシストキャラでおなじみですが、そこに至るまでには多くの苦労と試練がありました。この記事では、スポーツ少年だった彼がどのようにして「ネガティブナルシスト芸人」として人気を得るまでに成長したのかを詳しく紹介します。笑いの裏にある努力と人間ドラマをたどってみましょう。
🏫 学生時代|スポーツ万能のサッカー少年と予期せぬ試練
1989年、神奈川県厚木市で生まれた栗谷さんは、幼少期から明るく活発な少年でした。**神奈川県立厚木北高校(スポーツ科学コース)**に進学し、サッカー部で中心選手として活躍。チームは県大会ベスト4入り、50m走は6秒台という俊足を誇り、クラスでも人気者だったといいます。
しかし、小学6年生のときに人生を大きく変える出来事がありました。「鼻の骨が1本足りない」と診断され、手術で顔にセメントを詰める処置を受けたのです。本人はその後、自分の顔が「変わってしまった」と強く感じ、鏡を見るのがつらくなったと語っています。手術以降、周囲の態度が変わり、次第に「自分は嫌われている」と思うようになりました。かつては“俺様キャラ”だった少年が、ここで大きく性格を変えていきます。この体験が、後に芸人としての“自虐スタイル”につながる原点となりました。
😔 思春期の孤独と心の傷
中学時代、栗谷さんは地元クラブチームでサッカーに打ち込み、学校ではあまり目立たない存在に。「何を考えているのかわからない」と言われることも多かったそうですが、サッカーでは仲間が支えでした。試合で活躍するたびに「まだ頑張れる」と自分を励ましていたといいます。
しかし高校に入ると、修学旅行のバスで女子たちが「栗谷、気持ち悪くない?」と話しているのを耳にしてしまいました。直接言われたわけではないものの、その言葉に深く傷つき、「自分はみんなに嫌われている」と思い込んでしまったそうです。この経験がトラウマとなり、彼の中で「笑いで人を動かしたい」という思いが芽生えました。隣の女子を笑わせようと替え歌を披露するも失敗し、さらに恥ずかしい思いをします。しかしこの経験が、「失敗しても笑いに変えられる」という今の栗谷さんの原点となったのです。
🎤 芸人を目指すきっかけと初めての挫折
中学時代から「芸人になりたい」と思っていた栗谷さん。サッカー漬けの毎日の中、こっそり深夜にテレビをつけてくりぃむしちゅーの番組を見ていたそうです。トークのテンポや掛け合いの面白さに惹かれ、「自分も人を笑わせたい」という夢が生まれました。
高校卒業後、NSC東京校(吉本興業)15期生として入学。しかし、初日の自己紹介で有吉弘行さんの毒舌スタイルを真似し、同期全員にあだ名をつけたところ「初日で嫌われ、2日目で退所」することに。本人は後に「カッコつけたけど全然ウケなかった」と苦笑しています。この失敗を通して、「笑いは他人を傷つけることではなく、自分をさらけ出すことなんだ」と学びました。
その後、人力舎の養成所「JCA」に入学。「ロメオ」というコンビを結成しますが、ほどなくして解散。以降は「くりたに次第」「くりくりおめめちゃん」としてピン芸人として活動しました。収入は少なく、アルバイトで生活を支えながらも、芸人を諦めることはなかったそうです。
💼 カカロニ結成と“ネガティブナルシスト”の誕生
2016年、運命の出会いが訪れます。相方のすがやなおひろさんと出会い、コンビ「カカロニ」を結成。当初はフリーで活動し、のちにグレープカンパニーに所属しました。栗谷さんの提案で「自分の性格をそのまま活かした漫才」を始め、ナルシストキャラに自虐を融合させた新しいスタイルを確立します。
「自分の弱さを出したほうがウケる」と感じた栗谷さんは、“ネガティブナルシスト”というキャラを確立。テレビ朝日のインタビューでは「新しい発明」と紹介され、観客の共感を呼びました。「昔の自分に似ている」「勇気をもらえる」といった声も多く、彼の芸風が多くの人の心を掴むようになりました。
💔 キャラ崩壊と新たな挑戦
2024年末、栗谷さんは自身のSNSで「初めて彼女ができました」と報告。祝福の声が集まる一方で、長年の“童貞ナルシストキャラ”が崩壊することに。相方のすがやさんも「ネタをすべて作り直した」と語っています。現在はボケとツッコミの役割を入れ替え、より幅広いテーマに挑戦。以前よりもポジティブで温かみのある笑いを届けています。
👃 外見とキャラの変化、そして今の栗谷悟史
小学時代の手術以降、「顔が崩れた」と感じていた栗谷さんですが、今ではその経験を笑いに変えています。「この顔で生きてる俺、最強だと思う」と冗談を交えながら話す姿からは、過去のトラウマを受け入れた強さが伝わります。かつての“俺様キャラ”は、今や“兄貴肌で優しいナルシスト”へ。白いスーツ姿(事務所の先輩・伊達みきおさんから贈られたといわれています)もトレードマークとなり、ファンに親しまれています。
📺 印象的なテレビエピソード
- **「アメトーーク!」**では、「中学のときにチェーンメールで告白して無視された話」を披露し、笑いと共感を呼びました。
- **「大悟の芸人領収書」**では、マッチングアプリで女性に会いに行った際に友人から冷やかされ、泣いてしまったというリアルな失敗談を語り、スタジオを爆笑させました。
- コロナ禍で仕事が激減した際には、解散を考えたものの相方とサッカーをして気持ちを取り戻し、「また頑張ろう」と立ち直ったと語っています。
どのエピソードも、彼の人間味あふれる魅力と“挫折を笑いに変える力”を感じさせます。
🎬 まとめ|苦しみを笑いに変えた芸人魂
栗谷悟史さんの人生は、スポーツ少年から始まり、手術・孤独・失敗を経て、笑いで人生を切り開いた物語です。「ネガティブでもいい」「弱さを笑いに変えられる」という信念が、今の彼を支えています。その姿は、多くの人に勇気を与え、カカロニの漫才をより深いものにしています。
これからも“ネガティブナルシスト”として進化を続ける栗谷さんの活躍から目が離せません。


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